こんにちは!
先日、晴れて茶名をいただき、一人前の茶人に近づいたもなかです。
茶道で飲む抹茶には、薄茶のほかに一碗を複数人で回して飲む「濃茶」があります。
茶道を始めてまだ間もない方は飲んだことがないかもしれませんね。
読んで字のごとく、とっても濃い抹茶なのですが、濃さよりなにより、「一碗をみんなで飲む」ということに最初はだいぶ抵抗がありました。
そこで、そもそもなぜ濃茶は回し飲みをするのか、回し飲みの衛生面を調べてみました。
薄茶と濃茶の違い
おさらいですが、茶道で飲む抹茶には「薄茶」と「濃茶」の2種類があります。
それぞれの抹茶の違いは、見た目のほかに役割にもあります。
濃茶と薄茶の違い① 見た目
「薄茶」とは抹茶味のお菓子のパッケージでよく見る、薄緑色のシャバシャバと水っぽい抹茶です。
「濃茶」は卵の黄身くらいの濃さのどろっとした抹茶です。
見た目の違いは、抹茶とお湯の比率に関係があります。
薄茶 抹茶約2g:お湯約60cc
濃茶 抹茶約4g:お湯約40cc
(どちらも一人分、もなか調べ)
なんと抹茶は倍量なのに、お湯は半分とちょっとしか入れないのです。
それでどろっとした重たい食感の抹茶になっています。
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濃茶と薄茶の違い② 役割
薄茶も濃茶もそれぞれ「茶事」の一場面を切り取ったものとなります。
「茶事」とはフルコースの茶会ことです。
正式な茶会なので正装(着物)で参加し、時間も4~5時間はかかります。
1.湯を沸かすための炭のつぎ足し
2.懐石(食事のこと)を振る舞う
3.濃茶をさしあげる
4.薄茶をさしあげる
(冬と夏で流れが若干変わります)
茶事では食事が出たりしますが、茶事のメインイベントはあくまでも濃茶。
濃茶をおいしく点てるために炭の位置を調整して火加減を整え、濃茶をおいしく飲んでもらうために食事を振る舞います。
濃茶は抹茶の濃いため、刺激が強く、空腹時ではおいしくいただけないのです。
そして濃茶を飲み終わったあと、薄茶でリラックスするという流れです。
濃茶を回し飲みする理由
①時間の短縮のため
濃茶を練ったことがある方はわかるかと思いますが、薄茶と違い、濃茶は練るのに時間がかかります。
多量の抹茶を少ないお湯で溶かす必要があるため、茶筅に力を込めて、何度も何度もかき混ぜるのです。
そのため、濃茶は「点てる」ではなく「練る」と言います。
そのため、複数人分をいっぺんに練ることができれば、時間の短縮になるということです。
②客同士の心をひとつにするため
これは「一味同心」という考え方がもとになっています。
一味同心の意味は
同じ目的の下に力を合わせ、心を一つにすること。
引用:精選版 日本国語大辞典
ですが、茶道においては、どちらかというと「同じ釜の飯を食う」というイメージです。
つまり、濃茶を回し飲みする理由は、狭い茶室で1つの茶碗から抹茶を回し飲むことで、客同士の心を一つにするため、ということになります。
回し飲みって衛生的にどうなの?
濃茶は1つの茶碗を複数人で回して飲みますが、飲み終わったあとは濡らした紙茶巾で口元を3回ふき取ります。
↓1回きりで使い捨ての紙でできた茶巾です。濡らして絞ってたたみ、使用します。
そのため、前の人が飲んだ汚れた飲み口で飲むということはありません。
質問サイトで「濃茶の回し飲みは公衆浴場の湯船に浸かるのと、イメージは似ている」という意見があり、私はとても腑に落ちました。
→ 参考:教えて!goo
なので公衆浴場に入るのに抵抗のある方は、濃茶の回し飲みにも抵抗があるのかもしれません。
まとめ
濃茶の回し飲みについてまとめました。
- 抹茶には「薄茶」と「濃茶」の2種類がある
- 濃茶は一碗で複数人分を練り順番に飲む→「回し飲み」
- 濃茶を回し飲みする理由
- ①時間短縮のため
- ②客同士の心をひとつにするため
- 回し飲みの衛生面:飲んだ口元を濡らした紙茶巾で3回拭いている
- 現在は濃茶も各服点が推奨されている
濃茶はなぜ回し飲みをするのか?という理由がわかれば、抵抗感も薄れますね。
ただ、各服点で濃茶を練っている身とすると、一人分の濃茶は量が少なく、上手に練るのがすごく難しいです…。
また複数人で回し飲みができる日が来ることを願うばかりです。
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