茶道を始めて少し経つと、「ぎょうてい先生」もしくは「ぎょうていさん」というワードを耳にすることがあると思います。
きっと聞き慣れないワードなので耳に残っているのではないでしょうか?
「先生」とつくくらいだからエライ人?という想像がついているのであれば大正解です✨
今後、茶道を習っていく中で、お会いするかもしれない「ぎょうてい先生」について知っておきましょう!
「ぎょうてい」とは?
「ぎょうてい」とは「業躰」と書き、「業」とは生活をするための仕事、「躰」とは体/身体と同様にからだ/全身を意味します。
つまり「業を体得する」という意味になります。
茶道裏千家の業躰とは、お家元のもとで厳しい修行を積むことで「業を体得」し、お家元に代わって茶道の指導をする仕事、いうなれば「茶道のプロ」です。
裏千家の行事で講演会やお茶会などを行ったり、研究会で指導をしたりしています。
↓研究会の様子
正会員以上の資格を取得すれば研究会に参加することができますので、その際にお会いすることになるかと思います!
↓私が研究会に出た時のことを書いた記事もあるので、読んでみてください。
お茶会などは日本だけにとどまらず、海外の100以上の地域にある裏千家の支部でも開催されているため、業躰先生は世界中を飛び回っているようです。
茶道は世界中で楽しまれているのですね!
ちなみに「業躰」という呼び方は裏千家のみの呼称で、表千家では「玄関」、他の流派では「内弟子」と呼んだりするそうです。
ぎょうてい先生にはどうやってなる?
業躰先生には「業躰」の資格を取得することでなれるようですが、家元に入庵し、長年住み込みで厳しい修行を重ね、茶道に関する知識と技術を身に着けることで、初めて業躰として認められるようです。
住み込みでの厳しい修行とはどんな修行かというと、裏千家の業躰である奈良宗久先生は修行の日々を以下のように話されています。
朝3時に起床して、茶室の掃除をして、花を活けて、お家元のおつとめの前にすべての準備を整えて待つ。これを毎朝365日、冬も夏も続けました。夜も茶室で寝ます。外と障子1枚で隔てられた部屋で、冬は寒いので、起きたら髪の毛が凍ってたこともありましたよ。
引用:OnTrip JAL JALが提案する観光ガイド
業躰の修行ってすごく大変なんですね…!
生半可な覚悟では到底できない所業です。
現在の業躰先生方はこのような厳しい修行を積み重ねて、茶道のなんたるかを日本だけでなく世界中に広めるすごい方たちなのですね。
ぎょうてい先生はどうして男性ばかり?
メディアなどでよく見る業躰先生は男性が多いと思いますが、女性がいないわけではないようです。
業躰先生に男性が多い理由を2つ考えてみました。
歴史的な背景
現在の茶道が確立した鎌倉時代では、お茶を差し上げる役割であった茶頭は男性が担っていました。
また千利休の弟子として茶道を広めた武将たち(利休七哲)もみな男性です。
その伝統的な習慣から現代でも男性が多いのではないでしょうか。
↓茶道の歴史についてはこちら
業躰になるための修行の側面
先ほど、業躰先生は、長年の厳しい修行を積み重ね、生半可な覚悟ではなることができない、と書きましたが、女性で自分自身の家庭を顧みず、長年の修行に打ち込める方はどのくらいいるのでしょうか。
現代の社会と同様、女性は結婚や出産でキャリアが中断してしまうことが多々あります。
そんな「キャリアと家庭の両立の難しさ」というのが女性の業躰先生の人数として表れているのではないかと思います。
ぎょうてい先生は何人くらいいるの?
裏千家の業躰は終身制のようで、正確な人数はわかりませんが、数十人~100人ほどのようです。
裏千家の茶道人口は100~170万人のようなので、そのうちの多くても100人ほど…茶道人口の0.006%ほどです。
いかに業躰先生になることが難しく、大変なことであるかを感じますね。
ぎょうてい先生に教えてもうらことはできるの?
調べたところ、業躰先生に教えていただくには2つの方法がありそうです。
①業躰先生が主催している教室に弟子入りする。
業躰先生はお家元の代わりに行う仕事がメインですが、先生によってはお仕事が無いお休みの日にご自分の教室や特別に依頼された教室で教えていることもあるそうです。
②直門会に入る。
「直門」とはお家元の直接の弟子である業躰先生よりご指導を受ける、お家元が認めた会のことです。
直心会、志倶会、修竹会、日曜稽古・すみれ会などがあります。
いずれの方法も通っている教室の先生が詳しくご存じかと思いますので、先生に聞かれるとよいと思います。
まとめ
裏千家の業躰先生についての基本的な知識でした。
通っている教室の先生に詳しく聞いてみると、その先生の業躰先生への思い出なんかを聞けるかもしれませんね。
また業躰先生のご指導はとてもレベルが高いので、研究会などで指導をしていただける機会があればしっかりと聞いて、自分のレベルアップにつなげたいですね。
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